深山ふぶき地元にユニークな文化も

磐越自動車道の完成によって、福島県内の東西の移動が格段便利になった。田村郡船引町の最寄りのインターは船引三春ICで、中通りの郡山JCTからだと15分、浜通りのいわきJCTからでも40分でアクセスできる。

このインフラ整備によってレジャー施設等いわゆるリゾート開発が進んだ側面もあるようだが、それでも一旦ICを降りて周辺を巡ってみると、結構、自然が多い。そして古くから続く伝統文化が今なお残されている。

身の丈四mの大鬼が突然…
そのひとつが『お人形様』。町内三カ所に、身の丈4mのいかつい顔の大鬼が両手を広げ、ジロリ正面を睨みつけている。初めて見る人はビックリ。「一体何なんだこれは」。左腰に刀を指し、右手には薙刀を持っている。
 
実はこれ、無病息災・厄除けの神様。言い伝えによると、その昔(一説によると文化15年=1818年)悪疫が流行し、人々がその苦しみから逃れるため、悪霊が村に入り込まないようにこれを集落入口の高台に祀ったのが始まりとされる。昔は三春町といわき市を結ぶ磐越街道沿いに五カ所あったようだが、今は屋形・朴橋(いずれも町指定民俗文化財)と堀越(平成4年9月に復元)の三体だけが残っている。

毎年旧暦の3月15日(四月上旬)に「衣替え」を行ない、お人形様の化粧を直して髪の毛や縄飾りも新しいものに代えている。今年も去る4月8日(日)に開催したばかりだ。













白い長石が吹雪のごとく
今回紹介する「深山ふぶき石」はその堀越の裏手、名前の通り深山で採掘されている。浮金石が採れる黒石山とは目と鼻の先ほどしか離れておらず、方角はちょうど深山の南側で、直線距離にして2qあるかないかといったところだ。
丁場の開発面積は約15万uに及び、年間生産量は約5万切(約1400立方メートル)に達する。
 
ネーミングが実に良い。青みの濃い中目の花崗岩で、白い長石が吹雪のように美しく舞うことから名付けられた。深山という響きも「人里離れた山深い神聖な場所で、職人がコツコツ切り出してます」といった印象を与え、心地良いものに感じられる。採掘元は株式会社福石石材(佐藤利男社長)。採石・品質責任者の吉田正明氏は「有限の石を有効利用するためワイヤソー等を使って、丁場に無理を掛けず計画的に採掘しています。そして品質重視で長期に渡って安定供給できるよう努めています」と話す。


若者に習って石も個性豊かな時代に
加工は別会社の株式会社フクイシ(同社長)が行なう。深山ふぶき石を主体に墓石・外柵、モニュメント、記念碑などを加工している。その他、大型の公共工事では福島空港や三春ダムの建設にも使用されたという。また昨年三月、彫刻専門工場「匠の森」が完成、ここで立体彫刻ファントーニの注文に応えている。これからは石にも個性が必要と考える佐藤社長はこう述べる。

 「茶髪、顔黒、厚底など最近の若者は個性豊か。石の業界も同じ事で、お客様には一人一人の個性があり、企業にも独自のデザインが要求されています。それに対応できるのがこれ。ファントーニならお客様が求める多種多様なデザインに応えることができるのです」という。

お墓もその時代の世相を反映している点で、ひとつの文化と捕らえることができる。二百年近く続く「お人形様」のように、この深山ふぶきも後世に長く受け継がれる存在となってほしい。国産材の故郷に今なお残るユニークな民俗としてお客さんに紹介すれば、このような地元文化もお墓を売る大きなセールスポイントになるだろう。お墓の付加価値とはデザインや機能だけではないはずだ。驚かされる。

◎株式会社フクイシ 
 TEL 0247−85−3633