福島市から阿武隈高地の北部を東西に横切って浜通りの浪江町に通じる国道114号線。この国道沿い、川俣町との境界に近い浪江町の国有林で「白馬石」(商標登録済み)が採掘されている。その名の通り白馬石山(標高821m)から採れる、福島県を代表する銘石である。採掘業者の挙瓶石材店(本社・郡山市、二瓶信弘社長)に話を聞いた。
様々な表情見せる白馬石―
今から40年以上前、先代の父が創業した当時は浮金石の採掘でスタートしたが、後に黒みかげが大量に輸入されてからは需要が増えつつある白みかげに移行し、昭和50年に青葉みかげ、そして同55年よ
りこの白馬石を採掘している。採石業者の登録番号は何と第100号という切れの良い数字だ。
ここでは玉石が多い日本では珍しく、ベンチカット方式により岩盤から切り出している。遠くから眺めると、その自然の雄大さに今にも吸い込まれそうで、自分がちっぽけな存在に思えてしまうほどだ。最大で5立方メートル、長尺モノで20尺×3尺角くらいまで採れるという。資源の有効利用と環境への配慮からワイヤソー等も使用している。しかしご多分に漏れず、ピーク時に月産6000切を誇っていた産出量は今ではその3分の1に、同2000切にまで落ち込んでいる。丁場の従業員も最多期の15人が今は4人になってしまった。
中国産に類似品があっても…
石質は荒目で青味が強い。「一言で表現すれば質実剛健。色目の揃った石が比較的楽に安定して採れます。石質がとても硬いので切削には苦労しますが、その分、ツヤ持ちは非常に良い。仕上げ方ひとつで様々な表情を見せてくれるんです」と二瓶社長は説明する。中国産に似たような石種もあるようだが、今なお白馬石を指名してくれる石材店が少なくない。外見は似ていても長年の実績と信頼、安心感では優っているからだろう。出荷先は県内ほか関東、北陸、遠方では九州へも、特に塩害に強いと評判で、北海道などにも出荷されている。主な用途は石塔が3〜4割で、残りは外柵や建築材として利用されることが多い。
今の新工場は平成3年に完成。大口径2台、大型ワイヤソーほか中口径、研磨機などひと通り揃える。ここで卸と小売り用の各製品を作っている。事務所では墓石設計用のCADも導入して、多様化した幅広いニーズに応えている。
「地産地消」運動と並行して―
この先、山の採掘を続けるためにも地元での小売りは「地産地消」運動の原則に従って重要な事業と位置付けている。「地産地消」とは地元で生産したものを地元で消費するという経済活動のことをいう。「お墓は日本人の精神生活の基盤」とする同社の経営理念には、これからも採石業を続けることへの決意と覚悟が読み取れる。
「供養の心をふるさとの福島の石で伝えます。
永く伝え残すものだからこそ、
自社採掘・加工・施工にこだわります」
とある。過去と未来を結ぶ永遠性を石に託し、何百年と遜色のない墓石作りを使命としている。
石材という地場産業の地域性を考えれば、先の経済原則をさらに「国産国消」、つまり国産品を国内で消費するとも解釈できるだろう。何百年、千年と受け継いできた日本の伝統的な石文化を継承するためにも、モノづくりの原点に戻って今こそ国産の良さを見直したいものだ。二瓶社長の白馬石に対する眼差しはまるで我が子に対するそれのようだった。
◎挙瓶石材店(本社・ショールーム)
所在地=福島県郡山市中田町柳橋字前の内438
TEL=0249‐73‐3111