淡い桜色が美しい草水石―
草水石は新潟県安田町の大山で採掘される石材である。大正時代初期に採掘・加工が始められた花崗岩で、その淡く美しい桜色から「桜御影石」の名でも知られている。有名なところでは、国会議事堂や新潟県庁などの建造物にも好んで使用されているし、地元では古くから墓石材や民家の石垣、門柱などにも使われてきた。安田町で石の話をすると、地元の人はみな草水石を知っている。まさに地域の人々の生活に密接に関係しながら成長してきた石材で、そのため地元では「安田石」という名が一般的に使用されている。
組合で採掘から出荷まで―
草水石の採掘権は現在、草水石材協同組合(熊倉征志組合長)が持っている。もとは各事業所がばらばらに大山で採掘をしていたが、山の採掘権を一括で取得・管理するため、昭和29年に協同組合に組織化した。現在の組合員数は8名、組合を窓口にして主に新潟県内の各地に出荷する。丁場の面積は9.36 、高低差は約120m。雪国新潟らしく1〜3月は山は休止し、年間で墓石材としては約80tの原石を採掘する。

「草水石は大きな玉石で採れます。そのままゴロゴロと埋まっているやつを、ユンボで掘り出す。その巨大な玉石にV字型に穴をあけて、黒色火薬を詰め込んで大割りする。この方法をここでは昔から『夫婦はっぱ』と呼んでいます」と熊倉組合長。採掘業を継承して三代目と言う熊倉組合長自身も、丁場の伝統を受け継いで来たひとりだ。

「ただ草水石を取り巻く環境は年々厳しくなっています。もう、そういう伝統も継承できない…」。

…ん?大変気になる言葉ではないか。草水石はどうなってしまうのだろう。



「やめるしかない」と言い切る現状
実は草水石は、平成18年に現在の丁場の使用契約期限が終了すると、「(採掘を)やめるしかない」という状況にまで追い込まれている。やはり中国からの輸入製品による影響が大きい。いくら地元で愛されてきた石でも、その親しみの感情以上に、もはや値段が安いことの方が選択肢として優先されてしまうのだろうか。何ともさみしい話である。

「草水石も、桜御影石と呼ばれる本来の桜色の石が
少なくなって、最近では青系の石が増えて来ているんです。そうなると、もう、競合できない。残念ですが、今のままではやめざるを得ません。当然このような状況ですから後継者もいない、と言うより、継がせることなんてできません」。

組合としても、草水石の認知を広めようと、努力はしてきた。一般向けに草水石の石塔や彫刻品などの美しさをPRする「石の祭典」の開催や、素材としてすべて草水石を提供した石彫シンポジウムへの協力など…。しかしいずれも五年ほど前までの活動で、以降はただ時代の流れに身を任せているような状況になってしまっている。

「特に新潟県は仏壇業者などの異業種がお墓を販売するケースが増えている。そのような新規参入業者は中国製品の扱いが圧倒的に多いでしょう」と熊倉組合長。川上から選択肢を狭められてしまうと、採掘業者としては苦しい限りだ。

議事堂建設にまで使用された美しい桜御影石が、本当に今なくなろうとしている。石材大国・中国との共存共栄も業界にとっては大切なことだが、その陰で確実に消えて行こうとしている産地があるということも、決して忘れてはならない。

町内の墓地に建つお墓は、ほぼすべてが草水石のお墓だった。本当に桜色をした、古くなっても美しくて優しい印象の石だった。ぜひ草水石材協同組合までお問合せください。

◎ 草水石材協同組合 TEL.0250−68−5347