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ぬくもり感じる男鹿半島の石 寒風山から生まれる男鹿石 秋田県男鹿半島の象徴とも言える寒風山のふもとから採掘されるのが今回紹介する「男鹿石」である。輝石安山岩に属する男鹿石の歴史は古く、江戸時代中期にまでさかのぼれると言われている。神仏の石像や家屋の土台などに使用され、明治時代からは墓石はもちろん建築・環境石材として全国的に流通した。ここ数年で最も注目を集めたのは、2002年4月に竣工した新首相官邸の外壁に約2500uが使用されたことであろう(残念ながら写真はNG)。 さて、約20年前までは20社ほどが採掘・生産に関わっていた男鹿石であるが、現在は主に外材の影響で業者数は減少している。いま大々的に採掘から加工、そして設計・施工までを行っているのは滑ヲ風(菅原廣悦社長)である。同社では約17ヘクタールの丁場を保有し、年間採掘量は約10万t。しかしそのうち8割が砕石用で、実際に建築・環境石材として使用されるのは2割ほど。そのうえ外材や低予算などの影響を受けているのは確かなことで、同社としてはいかに付加価値を高めてアピールしていくかが最大の課題となっている。 採掘から設計、生産そして施工まで 同社の最大の特長は、社内に「石材部」「石工事部」「石材加工部」「土木部」を設け、各部で業務に当たっていること。簡単に説明すると「石材部」では主に採掘(間知石・鉄平石などの生産も含む)、「石工事部」では建築・環境石材の設計及び施工、「石材加工部」では墓石など各種石製品の生産、「土木部」では土木・造園工事を行っている。つまり採掘から設計、生産そして実際の現場工事までを社内で一本化しているのだ。取材に対応していただいた菅原広二副社長は次のように話してくれた。 「男鹿石に関して一貫体制をとることで効率化を図っています」 間知石を例に説明すると、同社の場合、積み職人が間知の生産を行うことが多い。彼らは現場を知り尽くしているから、そのノウハウが生産にも活かされる。以前どこかで「間知石が寸法通りではない」と言って返品されたという話を聞いたことがある。実際に現場で積む業者の経験が浅く、寸法通りの間知石でないと積めないといった何ともおかしな話だが、同社では自分でつくった間知石を自分で現場で積むのだから、生産・施工の両面で無駄がなく、非常に効率的なのだ。 同社では各部門に分け、それらを相互に連動させて一貫体制を敷くことで効率化を図り、男鹿石の付加価値向上にも努めているのである。そしてそれらの取り組みをより強化させ、品質の安定化を図るべくISO9001の認証を取得した(2005年に全社対象)。 男鹿石の魅力って? 「割肌の風合い、水に濡れた時の色合いです。濃い目のグレー色がどんな環境にも合いやすく、ぬくもりを感じます」 菅原副社長は男鹿石の魅力についてそう話してくれた。男鹿石は前述のように輝石安山岩に属し、花崗岩よりも比較的やわらかく加工もしやすい。積んだ際に石と石とのかみ合わせが自然に馴染むのも特長だ。またそのあたたかな風合いから記念碑や彫刻作品に使用されることも多く、昨年夏に秋田県井川町で開催された石彫シンポジウムでは彫刻素材として大々的に使用された。3名の作家により制作された男鹿石の作品は井川町内に設置され、いまも観る人、触れる人にぬくもりを感じさせている。 魅力発信! 寒風山・石の彫刻フェスタ その男鹿石の魅力を広く知ってもらい、また男鹿石を産する寒風山の観光地としての素晴らしさをPRすることを主な目的に、同社ではこの夏(7月30日〜8月20日)、『寒風山・石の彫刻フェスタ』を開催した。新潟県在住の彫刻家、荻野弘一氏を寒風山に招き、男鹿石を使用してひとつの作品が生み出される過程を一般公開するというイベントで、期間中は多くの人々が見学に訪れた。 「当社がいまあるのは男鹿の地域の人々に支えられてこそです。もちろん寒風山の恩恵も受けています。その感謝の気持ちを還元したい、そういう想いで開催しました」 と菅原副社長。アートを通じて男鹿石の魅力を再発見してもらえれば、男鹿石はより地元に根付き、さまざまな可能性が広がるはずである。同社では現在、男鹿石の墓石販売にも積極的に取り組んでいるが、「故郷の石」としての認識が高まれば、墓石需要にもつながるかも知れないというのは考えすぎか。 いずれにせよ一企業がこのようなイベントを主催し、石の魅力を発信するのは意義のあることである。今後の取り組みにも注目したい。 ◎滑ヲ風(http://www.kanpu.co.jp/honsha/) 本社=秋田県男鹿市脇本脇本字前野1−1 TEL0185‐25‐2222 |
![]() ![]() ![]() ![]() 丁場で間知石を加工する職人さん。自分でつくった間知石を現場で積むので無駄が少ない。 丁場では鉄平石も生産していた。 同社の丁場にはブロック状に採れる岩盤と、板状節理が入った岩盤がある。 ![]() ![]() 工場には墓石加工のできる機械類が導入されていて、切削から研磨、字彫りまで自社で行う。同社オリジナルの割肌加工機も導入されている ![]() ![]() 石の彫刻フェスタ・オープニングセレモニーで男鹿石を割る菅原廣悦社長。左端が招待作家の荻野弘一さん(写真提供=滑ヲ風) 上=男鹿石を使用した作品『花いちもんめ』を制作する荻野弘一さん ![]() |