日本石巡礼 〜聖なる石に出会う旅・36〜 須田郡司
本殿の戸を開けると、突然何匹かの猫が飛び出した。一瞬ギョッとしたが、中に入ってさらに驚いた。奉納された多くの布々、そして千羽鶴が所狭しと吊され、その前には、ロウソクや太鼓が置かれていたのだ。布の隙間から、まるで隠されたように岩が顔を覗かせていた。二ツ岩明神は、二ツ岩の字の如く、まさに岩そのものをご神体としていた。日本全国からお参りに来て篤く信仰されている石神であった。 11月初旬、私は新潟の佐渡島へ渡った。10年ぶりに佐渡島を訪ねたが、石巡礼としては初めてだった。島に上陸し、西海岸を北上すると、次々と巨岩、怪石の姿が現れた。まるで怪獣を思わせる岩、烏帽子岩、人面岩、そして夫婦岩など。信仰されている岩としては、相川集落にある二ツ岩明神が、特に印象的であった。 信仰とは少し違うが、珍しい石が白山神社の境内にあった。それは「石臼塚」と呼ばれる塚だった。神社の境内に、築かれた円錐形の山は、すべて石臼を積み上げたものだ。ある種、石臼を供養するために作られたもののように見えた。 白山神社ではちょうどお祭りをしていて、石臼塚の由来を地元の方に尋ねると、快く教えてくれた。 佐渡島の小泊は、かつて椿尾と共に石工で栄えた村だという。小泊の石工たちは、佐渡の石仏の作者としても名を馳せたらしい。石製品は日本海側の交易の重要な交易品として他国へも移出されていた。石臼は、当時の生活必需品であり、交易品の一つであったが、時代の流れと共に使われなくなり、昭和五十二年に石臼を集め小泊地区にある白山神社に奉納されこの塚が作られたのだ。このような塚は全国でも珍しいという。 佐渡島は、佐渡金山で知られている。鉱脈のある場所は、聖なる場所ともつながっている。かつて弘法大師空海は、京都から鬼門(丑虎)にあたるこの佐渡島に蓮華峰寺を建立したという。 この島には、時代が変わっても多くの人々を引き寄せる、ある種の呪力があるのではないだろうか。私も、佐渡島の石の呪力に引き寄せられた1人だった。 |
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