はじめに
2つの地蔵岩(御在所山と礼文島)
2つの人面岩(三峰山と佐渡島)
立神岩と神威岩
石を立てただけの聖所空間
丸石
夫婦岩
割れた石・岩
揺拝石(岩木山と石鎚山)
奇岩と伝説(鯛島と親子熊)
石化伝承
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神奈備山
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日本石巡礼「聖なる石に出会う旅」
須田郡司オフィシャルページ
丸石

丸い石を見た時、可愛らしいと思ってしまう。大小を問わずその形に妙に魅かれてしまうのだ。日本では古くから丸い形に魂が宿ると信じられていた。
 世間で使われる言葉に「丸くなったね」というものがある。それは、人間の内面としての熟成を表わす言葉である。石が川や海で長い年月によって洗われて丸くなることを差したのかも知れない。
 丸石は神社のご神体や道祖神として祭られている事も多い。特に丸石神信仰で目立つのが山梨県である。ひとつに限らず数個も祭られていることもある。そのような風景を見た時に、そこに宿っている何かの存在すら認めてしまいたくなる。

「玉石社」
 奈良県十津川村にある玉置神社の末社に玉石社がある。杉の巨木の隙間に白い玉砂利がひきつめられていて小さな石の頭を覗かせている。その石は玉置神社のご神体を思わせる。
 何年か前に、この石が掘り起こされる事件があった。その時、和歌山在住の友人が、その石の全体像を目撃した。それは、真球そのものだったと言う。

「花窟神社の玉石」
 三重県熊野市に岩崖そのものをご神体としている花窟神社がある。ここは、日本神話に出て来るイザナミの命の墓所と言われ、春と秋に行われる「御綱掛け神事」で知られている。
 花窟神社の入口の手水場の横には、高さ1m余りの見事な丸石がある。注連縄が巻かれ、苔生した丸石は実に美しい。


「滝の拝の丸石」
 和歌山県古座川町の清流古座川の支流小川は、滝の拝と呼ばれポットホールで知られている。川底が約1キロに渡って大小の穴に覆われ、その中央部を割るかのように滝が滝壺に向かって豪快に落ちている。ポットホールは、落差7mの渓流瀑で奇岩の間に水が流れ落ちる。
 この穴に落ちた石は、やがて長い年月で川の流れで回転し揉まれて丸い石に変容してゆく。丸石は、いつしか人間によって祠の近くにお供え物をするかのように祭られていた。

 丸い石。先人達がその石に出会った時、いったいどのようなことを感じたのだろう。あるものは斎き祭られ、あるもの注連縄を巻かれ、そして御供えされる。
 丸い形は、人々の願いや祈りを託すのに相応しい聖所空間を導いてくれるように思える。