
 |
あの宮本武蔵には子供が居なかった。武蔵小金井(JR線)と言って……漫才のネタにあったが、その小金井には江戸の末期に名のある親分衆の一人小金井小次郎(1818〜1881)が縄張りを張っていた。
昭和50年頃はキャバレーやクラブで歌や演芸をショーに入れて大いに盛り上がったものだ。小金井にも外国女性をホステスにかなり繁盛していた店があって、そこへショーで仲間のジュン高田というのが出た。うれしさんの所から近いのだから遊びに来ないと電話があって、今は名古屋に居る青空星夫(弟弟子)と一緒に行って飲んでいるとやがてショータイム。ジュン高田が十五分程しゃべった所で、今日は私の兄貴分で青空うれしさんが弟分の星夫君と客席に見えていますのでと紹介。ステージに上がるハメに。一曲歌った後に星夫が「網走番外地」を歌ってよせばいいのに仁義を切った。
ショーが終わったら一人のホステスが俺を呼びにきた。ついていくとテーブルにいかつい男が二人座っていて、下からグッと凄みをきかせ「オイ、あんな所で舎弟に稼業の仁義やらせるのか!」。なるほど、その日のオレの服装が金ブチの眼鏡に白い上下のスーツ。おまけに黒いYシャツではヤクザ者に見えたのだろう。相手は小金井一家の分家で石家のSと名乗った。そこで小金井の六代目石井初太郎サンとは親しい者で……と嘘も方便。アチラは逆にこちらの席にビールや果実などの差し入れ。だがバレぬうちにとそこそこに帰ったコワーイ思い出。
|